
今、桃山町は高齢化が進み専業桃農家の数が減っています(随時桃農家募集中です)。
それに伴って、多くの園地で省力化が行われています。
例えば農薬を手でまかずにスプリンクラーなどの機械で大量に散布したり、
草刈の手間を省くために除草剤を使用していることが一般化してしまっています。そのため土は固く、色も悪く思えます。
桃星農園では体力の許す限り、肥料と土作りにこだわっていきたいと思います。園主が70歳頃にはもう無理かもしれませんが、それまでに深層土まで良い土層を作っておきます。
冬は唯一農家がゆっくりできる農閑期ですが、台風になぎ倒された桃の木の根っこを1本1本土から掘り起こしたり、土作りのために堆肥を混ぜてまいたりと毎年バタバタしています。
このような努力や作業は一見無駄に思えるかもしれません。
しかしどうしてもこの土作りにはこだわりたいと考えています。

(悪い土のイメージです。)
私は学生の頃や社会人の頃に家庭菜園を趣味としていました。
色々な畑を見てまわりましたが、いい物ができる畑はやはり土がふかふかで
良い色をしています。(下の写真のような)
更に実験的に同じ場所の畑で化成肥料主体と、有機肥料主体の畑で作り比べました。(有機肥料は多くのものがミネラルを含んでいます。)
その結果、有機肥料主体の畑の野菜の方がとても味わい深く感じました。

(良い土にはモグラもたくさん来ます)
そこで桃星農園では有機肥料を主体とした土作りに何よりも重きを置きます。
土壌の天地返しをして土壌硬度を下げます。その都度
土壌の成分分析表をみながら土を作る肥料や堆肥を投入していきます。
逆に富栄養化してしまって土壌バランスの悪い畑は堆肥のみの場合もあります。
雑草を刈った後に除草せず、すべて土に返していきます。
県の研究によると、微生物叢(微生物の分布割合)の乱れによる線虫被害も増えているとのことです。土壌中にミミズを増やし線虫を食べてもらっています。自然の力を借りることで農薬を使い過ぎず、バランスをとることが大事ということですね。
また、有田みかんで有名な和歌山県ですが、なぜおいしいのかというと、温暖な気候と海の照り返し、潮風に乗ってくるミネラルが要因と言われています。(もちろん他の作物でも同じことがいえます。)
桃山町は海からは遠く、海からミネラルの供給は期待できません。
そこで恐らくあら川の桃では当園のみで使用している特注の肥料を使用しています。この肥料は貝殻やヒトデの化石が入っておりこのミネラルを補給します。(実は桃星農園のロゴにはそういった意味も含まれていたりします。)
肥料の原産地は富山湾だそうです。昔、富山に住んでいた時に実際に海の中を見ましたがとても生物相が豊かでした。
国内でも有数の栄養分の多い湾らしいです。これは海水に立山の雪解け水が山に染み込み、天然のミネラルウォーターとして海へと流れこむからです。
富山大学の環境科で学んだことを忘れずに、環境にやさしい、おいしい桃つくりを行っていきます。

このたっぷりのミネラルを含んだ桃を是非一度食べてみて下さい!!

土作りは年を重ねるごとに効果が表れてきます。
年々おいしくなっていく桃をお客様と共に味わっていけたらなと願っています。
農薬について
おいしい桃の無農薬栽培は不可能です。
桃星農園ではできる限り環境に負荷のかからない農薬を選び、
できるだけ散布しないようにして育てています。
この減農薬と、上述した堆肥で土を作る栽培が認められ、2018年3月にはエコファーマーに認定されました。
近年、農薬の大量散布が原因で栽培環境が悪化し、害虫の天敵生物が減少することによる害虫の増加も問題視されています。
更に農家にとっても農薬の散布は体力面、資金面でも避けたいものです。
(半日で体重がどっと減る重労働です。長靴に汗が溜まります。)
本音を言えば、どの農家さんも農薬散布なんかしたくないって思っています。

しかしながら農業、特に果樹栽培では農薬散布が必須であると考えています。
これには3つの視点があります。
1、最も効果的な時期に農薬散布を行わないと、売り物にならない果物ができ、生産量の減少へとつながります。【生活ができない】
2、病害虫による植物への攻撃により、植物自身が防御物質を生産します。これが食味低下の原因といわれてます。【食味が悪くなる】
3、最後の要因は周辺地域の農家や住民に迷惑がかかることです。桃山町は果樹園と共に生きる街です。従って桃畑の近く(すぐ前も多い)に民家があり、他の桃畑があります。
もし全く農薬を散布しないとどうなるか・・・想像したくもありません。
近隣の手間暇かけたよそ様の桃はほとんど売り物にならなくなり、民家には大量のカメムシや蛾などの虫がおしよせるでしょう。【人に迷惑がかかる】
ここまで迷惑をかけて行う栽培はもはや農業ではなくただの嫌がらせです。
エゴを押し付けて迷惑をかけるようなやり方は当園の理念である、
〜やさしく、笑顔に〜からかけはなれています。
以上のことから環境に配慮し、適切なタイミングと場所で適量散布することによって自然、地域、お客様全てにやさしい高品質な桃を栽培していこうと考えています。
特定農薬や農薬に指定されていない物質を使用する予定は今のところありません。これらの物質は農薬よりも効き目が少なく、更にはヒトにも有害なことがあるからです。
そもそも国内の農薬使用の基準は世界的に見てもかなり厳しい基準です。
詳しくはADIという単語で調べてみて下さい。
現在はIRACやFRACを参考に、自然にやさしく、病害虫を効果的に防ぐ独自の防除暦を作っています。
更にヒトは解毒能力の高い生き物でもあります。
以前話題にもなりましたが、アボカドはヒト以外の生物には毒だとか、玉ねぎは多くの哺乳類にとって毒であることも知られています。(犬や猫には絶対あげないで!)
それらすらもおいしく食べられる私たちは解毒能力が高い生き物と言えるのではないでしょうか?
また、毒性の対象を限定的にした農薬が多いです。
例えば脱皮を促進する農薬が私たち哺乳類にとって危険でしょうか?
農薬は例えば、100g中に3gのみ有効成分(言い換えると97gは農薬ではない増量剤)がはいっており、それを数千倍の水で薄めます。
これを広範囲にまいて長期間置いている間に分解もされます。
それがついた皮をむいて桃を食べます。
この過程を経ることを考えるとどうでしょう?
実際に体の中に農薬を悪影響が出るほど取り入れていると考えますか?
私はそれで毒を食べているとストレスに感じることのほうが体に悪いと思います。
つい熱くなり、長く書き連ねてしまいましたが、まとめると
農薬を使用するにあたって注意することは適切な量と濃度、タイミングと対象生物をわかって散布することだと思います。
この考えをないがしろにせず、勉強しながら農薬とうまく付き合っていこうと思います。
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